日本臨床外科学会雑誌
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症例
S状結腸sm癌術後6年目に巨大リンパ節再発をきたした1例
高原 善博小笠原 猛大塚 恭寛土地 岳彦細川 勇高橋 誠
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2008 年 69 巻 1 号 p. 124-128

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抄録

S状結腸sm癌術後6年目の骨盤腔内巨大リンパ節転移に対する1切除例を経験したので報告する.症例は69歳の男性で2001年に早期S状結腸癌に対しEMRを施行.病理検査結果で深達度sm,margin unclearであったため追加切除目的に腹腔鏡下S状結腸切除術(D1)施行.6年後の2007年10月,突然の高熱を認め当院受診し緊急入院となった.CT・MRIで骨盤腔内に10×10cmの巨大腫瘍を認め,大腸内視鏡にてS状結腸粘膜面のびらんおよび注腸検査にてS状結腸の圧排像を認めた.エコー下針生検にてmoderately differentiated adenocarcinomaの診断となり,腫瘍を含めたS状結腸切除術(Hartmann型)施行.病理検査の結果はS状結腸癌のNo.241に相当するリンパ節転移であった.術前に高値を認めた腫瘍マーカーは術後正常値となり,現在外来にて化学療法中である.sm癌根治術後の単発リンパ節再発は極めて稀であるが,分化度や脈管/リンパ管侵襲によりリンパ節転移高危険群と判断される症例には術後の定期的な再発巣検索のためのサーベイランスの必要性が示唆された.

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© 2008 日本臨床外科学会
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