2007 年 68 巻 9 号 p. 2279-2282
症例は77歳, 女性. 以前より便秘がちであり平成13年には糞便性の腸閉塞となった既往あり. 鬱病等で近医入院中, 平成16年12月19日腹部膨隆あり. 翌日腹部単純レントゲンでfree air多量にあり. 加療目的で当科紹介となった. 来院時腹部全体が膨満しているものの腹膜刺激症状は認めず. 腹部CTにて多量のfree airあり, 部位は不明ながら消化管穿孔による汎発性腹膜炎の診断で開腹術を施行した. 腹水はほとんど無く拡張した横行結腸中央部に白苔の付着したpin hole状の穿孔部を認めた. 横行結腸を約10cm切除し一期的に縫合した. 以上より肉眼的に特発性横行結腸穿孔と診断した. 病理組織でも穿孔部は急性の炎症細胞浸潤を伴っており, 虚血, 憩室, 悪性所見を認めず診断確定に至った. また穿孔部の周囲には閉塞性腸炎と類似した像が散見された. 特発性大腸穿孔の中で横行結腸穿孔は比較的稀であるが, 穿孔性腹膜炎の鑑別診断として念頭に置く必要があると思われた.