日本臨床外科学会雑誌
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急性腹症をきたした感染性後腹膜嚢胞の1小児例
石戸 圭之輔須貝 道博佐々木 睦男棟方 博文
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キーワード: 後腹膜嚢胞, 感染, 急性腹症
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2005 年 66 巻 9 号 p. 2315-2320

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抄録

症例は13歳,女児. 40°Cの発熱と左下腹部痛が出現したために近医受診.腎孟腎炎の診断を受け抗生剤投与されるも左下腹部痛は増強した.腹部CTにて巨大な嚢胞性腫瘍が確認されたため当科に入院した.左下腹部に緊満した可動性のない腫瘤を触知し,著明な圧痛および反跳痛を伴っていた.白血球15,000/μl,CRP 29.3mg/dlと高度の炎症所見を示し,腹部超音波およびCT検査にて左下腹部から骨盤内までの巨大嚢胞性病変を認めたため,感染性の後腹膜嚢胞性腫瘍と診断した.保存的治療に反応がみられないため,緊急開腹下に嚢胞摘出術を施行した.腫瘍は下行結腸背側の後腹膜に存在していた.腫瘍壁は厚く,著しい熱感を認めた.摘出標本は28×10×16cmと巨大なもので嚢胞内容液は膿性であった.病理組織学的検査で嚢胞内に移行上皮の配列を認めることより,尿路系の発生に由来する後腹膜嚢胞と診断された.嚢胞内容液が膿性であった後腹膜嚢胞報告例はこれまでになく,本邦初の報告と考えられた.

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