2004 年 65 巻 6 号 p. 1663-1667
症例は, 54歳,女性. 2002年6月初旬から黄疸,皮膚掻痒感が出現した.腹部造影CTでは,膵頭部に造影効果のある境界明瞭な5cm大の腫瘤を認め,内容は不均一であった. MRCPでは,腫瘍による総胆管,主膵管の途絶を認めた.血管造影では,腫瘍濃染像を認めたが, encasementを認めなかった.組織像では, HE染色で,腫瘍細胞の細胞質は好酸性に染色され,腺房構造と索状配列が混在していた.また, PAS反応が陽性で,免疫染色にてα1-antitrypsin, chromogranin, synaptophysinがいずれも陽性であったことから, acinar-endocrine cell carcinomaと診断した.術後補助化学療法を施行したが,術後8カ月で肝に径2cm大の単発の転移巣を認めた.これに対し,陽子線照射を施行し,照射後4カ月現在, NC (no change)の状態を保っている.