日本臨床外科学会雑誌
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MRIの血流パターンが乳癌との鑑別に有用と考えられた乳腺線維腫症の1例
中島 誠一郎菱山 豊平平 康二中村 豊竹内 幹也野路 武寛
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キーワード: 乳腺腫瘍, 乳腺線維腫症
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2004 年 65 巻 6 号 p. 1491-1495

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抄録

乳腺線維腫症は稀な疾患であり本邦の症例報告数も僅かである.最近われわれは乳腺線維腫症の1例を経験したので報告する.症例は56歳,女性. 2年前から右乳房BD領域の腫瘤を自覚し増大したため来院した.腫瘤は10×3cm大で弾性硬,胸壁固定と皮膚陥凹を認めた. USでは乳腺の最深部にlow echoic massがあり辺縁は不整で, CTでは胸壁に浸潤を疑わせるlow density areaを認めた.しかし造影MRIによる血流パターンは良性パターンに一致していた.ドリル生検を行うも腫瘍成分はなく確定診断には至らなかった.乳癌を否定できず, incisional biopsyを行ったところ迅速病理診断にて悪性所見なく,腫瘤部の切除のみを行った.病理診断は乳腺線維腫症であった.乳腺線維腫症は画像上乳癌との鑑別が困難であるが, MRIの血流パターンは乳癌と乳腺線維腫症の鑑別に有用であると考えられた.

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