日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
Crohn病に対する狭窄形成術の術後成績
佛坂 正幸自見 政一郎岩村 威志千々岩 一男
著者情報
ジャーナル フリー

2004 年 65 巻 6 号 p. 1486-1490

詳細
抄録

2003年10月までに教室で腹部手術を施行したCrohn病症例は35例である.このうち8例に対して狭窄形成術(狭窄形成術のみ: 2例,その他の手術を付加: 6例)を施行した(狭窄形成群).狭窄形成術を行わなかった27例のうち,比較可能な18例を切除群とし,狭窄形成群と比較検討した.切除小腸の長さは狭窄形成群で有意(p<0.01)に短かった.全35例の非再手術率は3年: 72.9%, 5年: 63.8%, 10年: 50.1%であった.狭窄形成群の非再手術率は2年: 60.0%, 4年: 30.0%であったのに対し,腸切群では2年: 92.3%, 4年: 83.9%であり, 2群間に有意差(p<0.01)がみられた.再手術を受けた狭窄形成群の4例全例で狭窄形成部以外にも新たな病変がみられた. Crohn病における狭窄形成術では,切除小腸が少なくて済む反面,再手術までの期間が短く,狭窄形成術後も慎重な経過観察が必要と思われた.

著者関連情報
© 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top