日本臨床外科学会雑誌
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穿刺吸引細胞診にて診断した乳腺原発腺様嚢胞癌の1例
趙 秀之川上 定男大垣 雅晴高階 謙一郎藤田 佳宏宗 寛之
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2003 年 64 巻 3 号 p. 589-593

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抄録

穿刺吸引細胞診にて診断しえた乳腺原発腺様嚢胞癌の1例を報告する.症例は52歳,女性,左乳腺腫瘤および乳腺痛にて来院した.触診にて,左D領域に径1.5cmの弾性硬の腫瘤を触知した.境界は比較的明瞭で,可動性は良好であった.マンモグラフィでは1.5cmの楕円形の腫瘤を認め, category 3と診断した.乳腺超音波検査では楕円形の低エコー陰影を認めた.穿刺吸引細胞診にて,類粘液球を囲む唐草模様状の細胞の集積を認めたため,腺様嚢胞癌と診断し,乳房温存手術+腋窩リンパ節郭清術を施行した.病理検査では,本疾患に典型的な篩状構造と乳腺痛の原因と考えられるperineural space invasionの所見を認めた.リンパ節転移は認めなかった.本疾患は非常に稀であるが,正確に術前診断するためには,その特徴的な病理所見に対する知識が必要であると考えられた.

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