日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
腎および外腸骨動脈を合併切除した悪性線維性組織球腫の1例
熊谷 佑介岡田 稔岩本 明美栗栖 泰郎豊田 暢彦岩永 幸夫
著者情報
ジャーナル フリー

2003 年 64 巻 11 号 p. 2873-2878

詳細
抄録

成人における軟部組織肉腫のなかで悪性線維性組織球腫(MFH)は最も頻度が高いが,後腹膜に原発するものは稀である.症例は53歳,男性.突然の左下肢腫脹にて当院受診.下肢静脈エコーにて大腿静脈が閉塞しており,左下肢深部静脈血栓症と診断され入院となった.腹部CTにて左骨盤後腹膜に8 cm大の腫瘍を認め,左外腸骨動静脈,尿管を巻き込んでおり,左水腎症を併発していた.臨床的に肉腫と診断し,手術を施行した.手術は外腸骨動静脈,尿管と腫瘍を一塊に切除し,左腎摘出も行った.組織診断にて悪性線維性組織球腫(通常型), stage IIIbと診断された.術後にcisplatin, doxorubicin, ifosfamide併用化学療法を1クールを終了した後, CTにて局所再発および転移を認めず退院となった.術後11カ月を経て再発を認めていない.

著者関連情報
© 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top