日本臨床外科学会雑誌
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外科治療と術後化学療法の併用が奏効した乳癌の多発肝転移の1例
高見 裕子才津 秀樹池尻 公二野中 道泰朔 元則吉田 晃治
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キーワード: 乳癌, 肝転移
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2003 年 64 巻 7 号 p. 1602-1606

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抄録

症例は60歳,女性.平成13年10月他院で左乳癌に対して胸筋温存乳房切除術が施行された.同時に多発肝転移を認めたため,術後化学療法を勧められたが,本人が手術を強く希望し,当九州医療センター肝臓病センター外科を受診.肝両葉の計16個の肝転移に対して平成13年11月外側区域切除,尾状葉切除,マイクロ波凝固壊死療法(以下, MCN)を行った.術後,トラスツズマブとパクリタキセルを投与し,肝転移術後13カ月の現在,再発の徴候は認めていない.
乳癌肝転移は肝切除の適応にならないという意見がこれまで支配的であり,全身化学療法などが施行されるのが一般的であったが,今回われわれは多発肝転移に対して肝切除術とMCNを組み合わせたvolume reduction surgeryを先行し,術後に全身化学療法を行うことで良好な結果を得た1例を経験したので報告した.

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