日本臨床外科学会雑誌
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進行胆嚢癌 (stage IVa) 長期生存の1例
辻 勝成高井 惣一郎里井 壮平北出 浩章權 雅憲上山 泰男
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2001 年 62 巻 12 号 p. 3021-3025

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抄録

症例は82歳,男性.平成2年8月,右季肋部痛を自覚.精査の結果,胆嚢腫瘍および胆石を指摘.胆嚢癌の診断にて平成2年12月,胆嚢摘除・肝床切除・胃局所切除術を施行.病理所見は肝・胃への浸潤を伴う高分化型管状腺癌, t4 (si, hinf2, binf0, pv0, a0), n0, H0, P0, M(-), stage IVaと進行胆嚢癌であった.術後6年を経過した平成8年11月頃より黄疸・肝機能異常を認め,精査の結果,旧肝床部の腫瘤,肝門部・肝十二指腸間膜リンパ節の腫大,総胆管・肝内胆管の拡張を指摘.胆嚢癌の再発の診断にて平成8年12月, S4a・5肝部分切除・総胆管切除・十二指腸楔状切除・胆管空腸吻合術を施行.病理所見は旧肝床部の高分化型管状腺癌の再発による胆管・十二指腸浸潤であった.その後,肝転移,骨転移を認め,初回手術より9年4カ月後に死亡した.以上,非常に稀な長期生存stage IVa胆嚢癌を経験したので,文献的考察を加えて報告する.

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