日本臨床外科学会雑誌
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上行結腸原発の内分泌細胞癌の1例
松本 壮平児島 祐福本 晃久吉田 英晃
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キーワード: 大腸内分泌細胞癌
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2001 年 62 巻 12 号 p. 2990-2993

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抄録

症例は71歳,女性.慢性心不全の治療で,当院内科に入院中,便潜血陽性を認めた.注腸検査で上行結腸に隆起性病変を発見し外科紹介となった.上行結腸癌の診断で結腸右半切除術を施行した.組織診断では,多数の核分裂像を伴った,充実性の小型の細胞からなる腫瘍を認めた.免疫染色ではシナプトフィジン, NCAM染色が陽性,ケラチン,クロモグラニン,グリメリウス, LCA染色陰性で内分泌細胞癌と診断した.術後経過は良好で,術後22日目に退院した.術後4カ月目に肝転移を認めるもPMCTおよびPEITを施行し,術後1年5カ月現在,無再発生存中である.
大腸内分泌細胞癌は極めて生物学的悪性度が高いため,本邦報告例の集計では,リンパ節転移,肝転移をおこすものが多く,予後不良である.本症例のように術後肝転移をきたしたにもかかわらず,長期生存が得られたものは少なく,手術のみならず,集学的治療を行うべきであると考えられた.

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