日本臨床外科学会雑誌
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高圧酸素療法が有用であったOgilvie症候群の1例
寺本 成一小関 萬里中場 寛行砂田 祥司赤松 大樹伊藤 章橋本 創
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2000 年 61 巻 8 号 p. 2128-2132

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抄録

Ogilvie症候群は器質的狭窄を認めない急性結腸偽閉塞症であり,その治療法は保存的治療が第一選択とされる.今回,高圧酸素療法が有効であったOgilvie症候群の1例を経験したので報告する.症例は69歳,女性.既往歴に29歳時巣摘出術を施行され, 60歳時心房中隔欠損症, Eisenmenger症候群を指摘された.平成8年5月腹痛,腹部膨満を主訴に来院し腹部X線上結腸の著明なガス像を認め,腹部CTにて左閉鎖孔ヘルニア嵌頓と診断し緊急手術を施行した.開腹すると左閉鎖孔にヘルニア嚢を認めたものの,腸管の嵌入や嵌頓はなく,著明な結腸の拡張のみを認めた.以上よりOgilvie症候群と診断した.術後4日目より高圧酸素療法を施行し術後8日目には自他覚的に腹部膨満の改善を来たした.高圧酸素療法は本症候群の有効な治療法の1つと考えられた.

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