日本臨床外科学会雑誌
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閉経前乳癌補助化学療法としてのCyclophosphamide, Epirubicin, 5-fluorouracil (CEF) 療法が卵巣機能および骨代謝に及ぼす影響
吉村 吾郎櫻井 武雄尾浦 正二玉置 剛司梅村 定司粉川 庸三
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1998 年 59 巻 9 号 p. 2208-2214

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抄録

遠隔転移を有しない閉経前乳癌44例を対象として,術後補助化学療法として投与されたCEF (cyclophosphamide, epirubicin, 5-fluorouracil) が卵巣機能と骨代謝に及ぼす影響について検討を行った.平均4.9サイクルのCEFが投与され,治療前後で血中ホルモン値と腰椎骨塩量を測定した. 44例中22例(50%)が無月経となり,無月経群では閉経期レペルにまでestradiolは低下し, FSHは上昇していた.無月経発現と年齢には相関があり, 40歳未満で無月経例はなかったが, 40歳以上では加齢とともに無月経の頻度が増加した.月経継続群の腰椎骨塩量は治療前後で有意差を認めなかったが,無月経群では6カ月で3.9%低下した(前値1.063±0.111g/cm2, CEF後1.021±0.111g/cm2, p<0.01). CEF療法による卵巣機能抑制により,急激な骨量減少を来すことが確認された.

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