日本集中治療医学会雑誌
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原著
ICUに入室した患者の家族における退院後の精神症状発生に関連する要因:事後解析
大野 美香本荘 弥生永登 諒平敷 好史池口 修平神津 玲嶋田 正子渡辺 伸一
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2024 年 31 巻 3 号 p. 203-208

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抄録

【目的】ICUに入室した患者の家族における退院後の精神症状発生に関連する要因を探索する。【方法】本研究は本解析に対して事後に実施された症例対照研究である。対象は,ICU に48時間以上滞在し退院した患者と,その患者がICU滞在中に1回以上面会した家族である。 患者データを,家族に精神症状あり〔Hospital Anxiety and Depression Scale(HADS)不安≧8,HADS抑うつ≧8,impact of event scale-revised(IES-R)≧25のうち少なくとも1つを認めた場合〕群となし群に分け,家族の精神症状発生に関連する要因を検討した。【結果】生存退院した患者178人中,退院3ヶ月後調査を完了した患者の家族61人を解析した。家族の精神症状ありは20人(33%)であった。単変量解析において,家族の精神症状ありと患者の退院時Barthel Index(P=0.013)およびHADSによる抑うつ(P=0.010)とが有意に関連していた。しかし,多変量解析では,有意な関連因子が存在しなかった。【結論】患者の退院時の日常生活動作の自立度低下と精神症状が,退院3ヶ月後の家族の精神症状発生に関連している可能性がある。

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