2021 年 28 巻 5 号 p. 419-428
要約:集中治療領域で行われる心エコー図検査の代表的なものとして,①緊急を要する病態に対し,ベッドサイドでの迅速な診断を目的とし定性的な評価を行うpoint-of-care超音波であるfocused cardiac ultrasound(FoCUS)と,②包括的なプロトコルに基づき定量的評価を含め循環器系の幅広い病態の診断を目的とした包括的心エコー図検査(comprehensive echocardiography),の2つが挙げられる。FoCUSは循環器医に限らず幅広く集中治療医により行われるため,目的や評価すべき内容の理解に加え,誤った診断に至らないようにFoCUSの限界や包括的心エコー図検査でなければ診断できない病態についての理解が必要である。本総説ではFoCUSの概要と限界,また包括的心エコー図検査との関係について述べる。