日本集中治療医学会雑誌
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症例報告
急性硬膜下血腫術後管理に脳内グルタミン酸測定が有用であった2症例
向山 剛生守谷 俊宮下 直也櫻井 淳木下 浩作丹正 勝久
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2011 年 18 巻 1 号 p. 89-93

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抄録

急性硬膜下血腫により圧迫されていた血腫直下脳組織の脳虚血病態を評価する目的で,マイクロダイアリシス(microdialysis, MD)によりグルタミン酸濃度を経時的に測定した。【症例1】では,血腫除去後,圧迫されていた脳組織のグルタミン酸濃度は正常であった。対側のグルタミン酸や頭蓋内圧も同様に正常であった。測定開始から3時間後に損傷側のグルタミン酸濃度が上昇を始めた。さらに約2時間後には,対側のグルタミン酸濃度の上昇とともに頭蓋内圧が20 mmHg以上まで上昇した。頭部CTで圧迫されていた脳組織に脳浮腫が認められた。【症例2】は,圧迫されていた脳組織のグルタミン酸は測定開始時から高値であったが,測定開始から3時間以内に正常まで低下した。対側のグルタミン酸濃度や頭蓋内圧の上昇は認めなかった。MDは急性硬膜下血腫により圧迫されていた脳組織の脳虚血病態の評価に有用であった。今後,同様の臨床設定での症例の蓄積が必要である。

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