日本神経回路学会誌
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解説
動的モード分解の概要と活用法―神経システムの制御問題への応用を目指して―
神谷 俊輔大泉 匡史
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2023 年 30 巻 2 号 p. 73-83

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抄録

脳はその状態を柔軟に変化させることで様々な機能を果たす.この意味で脳は自らの状態を望みの状態に制御する制御システムとみなすことができる.脳を制御システムとして数理的に解析する上で問題となるのが,脳の高次元性であり,適切に次元を削減したモデルを考えることが肝要となる.高次元ダイナミクスの次元削減法として近年急速に注目を集めている方法の一つに,動的モード分解(Dynamic Mode Decomposition: DMD)と呼ばれる手法がある.この方法は,高次元時系列データから,その時空間的振る舞いのモードを取り出す方法であり,制御システムへの応用も可能である.本稿ではDMDと関連する話題を簡単に紹介した後,DMDを制御システムに応用したDMD with control(DMDc)について触れ,最後に神経科学におけるDMDの活用についてレビューする.

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© 2023 日本神経回路学会
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