日本救急医学会雑誌
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学会通信
日本救急医学会救急科専門医による小児救急診療への取り組み~アンケート調査より~
日本救急医学会小児救急特別委員会
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2012 年 23 巻 7 号 p. 319-328

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抄録

目的:日本救急医学会救急科専門医(救急科専門医)の小児救急医療への関与および研修歴を把握し,更なる関与の促進のために必要とされる日本救急医学会小児救急特別委員会の取り組みの方向性を明らかにする。
方法:2009年5月に救急科専門医を対象にアンケート調査を行った。
結果:1,046名(37%)の救急科専門医より回答を得た。回答者の68%は何らかの形で小児救急診療に関与していた。CPA症例への関わり64%,重症外傷症への関わり(多発外傷70%,単独外傷67%)に対し,小児内因性疾患への関わりは重症例で51%,中等症例で49%と低い傾向が認められた。また,小児診療に対する自信を問う質問で,自信がないと回答した割合はCPA症例21%,重症外傷(多発外傷21%,単独外傷24%)に比べて,内因性疾患(中等症35%,重症39%)で高値であった。回答者の85%は小児救急に対して生涯学習の機会が必要と感じていた。
結語:救急科専門医の小児救急医療への関わりは,CPA症例,重症外傷を中心としたものであることが示唆される。救急科専門医の更なる小児救急診療への関与を促進するためには,委員会が小児関連学会との連携を密に,救急科専門医に対して適切な情報提供を行う機能を果たすこと,および内因性疾患を対象とした生涯学習支援ツールの開発を行うことが必要と考えられた。

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© 2012 日本救急医学会
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