日本大腸肛門病学会雑誌
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症例報告
がん遺伝子パネル検査の二次的所見として生殖細胞系列にBRCA1病的バリアントが検出された盲腸癌同時性多発肝転移の1例
野中 有紀子上原 圭小倉 淳司村田 悠記小林 龍太朗森川 真紀畠山 未来森田 真未横山 幸浩江畑 智希
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2023 年 76 巻 6 号 p. 443-446

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抄録

症例は75歳女性で,倦怠感を主訴に精査し,盲腸癌,切除不能多発肝転移,腹膜播種と診断された.コンパニオン遺伝子検査結果ではRAS変異型(KRAS G12V),BRAF V600E野生型,microsatellite stableで,FOLFOX+bevacizumab療法を導入した.がん遺伝子パネル検査を行ったところ,生殖細胞系列にBRCA1病的バリアントが検出され,遺伝性乳癌卵巣癌症候群と診断され,本人および家族に対して遺伝カウンセリングを行った.がん遺伝子パネル検査の普及により,期せずして生殖細胞系列に二次的所見が得られ,遺伝性疾患の診断に繋がる機会は増えると予測される.このことは説明同意文書には必ず記載があるものの,患者側のみならず医療者側も認識に乏しい場合は少なくなく,今一度,患者への十分な説明を肝に銘じ,遺伝カウンセリングの体制を整えることが極めて重要である.

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© 2023 日本大腸肛門病学会

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