2023 年 76 巻 6 号 p. 420-425
目的:直腸癌術後の縫合不全の予防目的に経肛門的ドレーン専用として開発されたWING DRAINの有効性・安全性を検討する.
対象:2017年3月から2021年10月に,当院で直腸癌に対し腹腔鏡下前方切除術を施行した症例を対象とし,WING DRAIN留置群(以下,WD群),WING DRAINを含む経肛門的ドレーン不使用群(以下,Non-transanal drainage tube,NTD群)に分類し比較した.
結果:対象期間中に直腸癌に対して腹腔鏡下前方切除術を施行した症例は105例であり,WD群46例,NTD群59例であった.縫合不全発生率(6.5% vs. 23.7%)と再手術率(0% vs. 10.2%)においてWD群が有意に低値であった.ドレーン関連合併症は認めなかった.
結語:WING DRAINは,縫合不全発生率・再手術率を減少させる可能性を示した.