日本大腸肛門病学会雑誌
Online ISSN : 1882-9619
Print ISSN : 0047-1801
ISSN-L : 0047-1801
主題II:慢性便秘症の診療
II.慢性便秘症の治療 各論(新規薬剤について)
安部 達也鉢呂 芳一小原 啓稲垣 光裕菱山 豊平國本 正雄村上 雅則
著者情報
ジャーナル フリー

2019 年 72 巻 10 号 p. 600-608

詳細
抄録

新規下剤には排便回数の増加のみならず,腹痛や腹部膨満感,排便困難といった便秘の諸症状に対する効果も期待される.急性便秘とは異なり,慢性便秘の場合は長期間使用しても耐性や依存性,偽メラノーシスが生じないことも求められる.2012年に処方箋医薬品としては実に30年振りとなるルビプロストンが発売され,2019年のラクツロース経口ゼリーまで合計6種の新規下剤が登場した.慢性便秘症診療ガイドライン2017において最も推奨されている下剤は,浸透圧性下剤と上皮機能変容薬の2種類であり,新規下剤6剤のうち4剤がその2種類に含まれている.前治療がない場合は一般的には浸透圧性下剤が第一選択薬となり,効果がない場合は上皮機能変容薬やエロビキシバットへの変更を検討する.新薬同士の選択は,便秘の病態や重症度,予測される副作用を考慮して行うが,個々の患者との相性は実際に投与してみないと分からないこともある.

著者関連情報
© 2019 日本大腸肛門病学会

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top