日本大腸肛門病学会雑誌
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症例報告
休薬により自然寛解した直腸肛門部メトトレキサート関連リンパ増殖性疾患の1例
久下 博之吉川 周作増田 勉内田 秀樹横谷 倫世山岡 健太郎稲垣 水美横尾 貴史稲次 直樹宮沢 善夫
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2017 年 70 巻 5 号 p. 310-315

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抄録

症例は70歳男性.5年前から関節リウマチにてメトトレキサート(MTX)を服用していた.肛門痛を主訴に2014年当院受診,同日の大腸内視鏡検査で直腸肛門管に腫瘍性病変を認め生検を行った.初回病理組織検査ではgroup2と診断されたため,腰椎麻酔下に再生検を行った.2回目の生検病理結果でびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)と診断された.MTX休薬以外にDLBCLに対する直接治療を行っていないにもかかわらず内視鏡検査を行うごとに腫瘍の平坦化を認めた.血液内科に紹介したところ,MTX関連リンパ増殖性疾患(methotrexate-associated lymphoproliferative disorders:MTX-LPD)と最終診断された.2年6ヵ月経過後も完全寛解を維持継続している.医学中央雑誌を検索したところ直腸肛門部に発生したMTX関連リンパ増殖性疾患(MTX-LPD)は自験例を含めて2例のみであり,Pubmedでは検索されなかった.

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© 2017 日本大腸肛門病学会

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