日本大腸肛門病学会雑誌
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症例報告
直腸神経鞘腫の1例
熊谷 祐子堀江 久永佐田友 藍直井 大志清水 徹一郎巷野 佳彦田原 真紀子井上 賢之伊藤 誉森本 光昭鯉沼 広治佐田 尚宏
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2017 年 70 巻 4 号 p. 227-232

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抄録

症例は31歳女性.3ヵ月前からの便秘を主訴に近医を受診した.大腸内視鏡検査で直腸腫瘍を認め,Boring生検で神経鞘腫と診断され当院に紹介された.直腸診では肛門管上縁前壁に有茎性腫瘤を触知した.大腸内視鏡検査では歯状線口側に約50mm大の粘膜下腫瘤を認め,超音波内視鏡では粘膜下層由来の腫瘍が疑われ,Boring生検で神経鞘腫と診断された.CTでは内部にまだらな造影効果を認め,MRIではT2強調で高信号,不均一な造影効果を有する有茎性腫瘍として描出された.手術待機期間中に腫瘍が肛門から脱出し,救急外来にて用手的に還納を行った.治療は腰椎麻酔下にジャックナイフ位で経肛門的切除術を施行した.切除標本の病理組織診断では,悪性所見のない神経鞘腫で断端は陰性であった.直腸神経鞘腫は稀な疾患であるが悪性例の報告もあり,また生検だけでは良悪性の鑑別は困難とされているため,文献的考察を加え報告する.

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© 2017 日本大腸肛門病学会

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