2015 年 68 巻 8 号 p. 523-529
[目的]内痔核に対するALTA療法は投与症例の適応を定めているが根拠となる報告は少ない.これら適応を再評価し今後の位置付けを考察した.
[対象と方法]3年間で単独ALTA療法を希望した227例を対象とし前向きに全例に施行した.皮垂71例,ポリープ20例,肛門管内外痔核の膨隆144例,巨大痔核40例があり,これらの有無別有害事象,再発率を比較検討した.
[結果]有害事象は63例に認めたがすべて軽度で保存的に軽快した.4因子の有無で発生率に差はなかった.累積無再発率は皮垂,ポリープ,巨大痔核の有無で差はなかった.しかし管内外痔核膨隆例の再発期間中央値は410日で非膨隆例の935日と比べ再発率が高く(p=0.03),また膨隆痔核数が増えるほど再発しやすかった.
[結論]肛門管内外痔核の膨隆は再脱出の有意な因子であり根治的には単独ALTA療法の限界と思われた.これらの治療戦略は今後の課題となる.