日本大腸肛門病学会雑誌
Online ISSN : 1882-9619
Print ISSN : 0047-1801
ISSN-L : 0047-1801
症例報告
内視鏡的に整復可能であった腸管出血性大腸菌O-157感染による腸重積の1例
竹原 朗羽田 匡宏芝原 一繁佐々木 正寿
著者情報
ジャーナル フリー

2009 年 62 巻 5 号 p. 345-349

詳細
抄録

症例は16歳,男性.腹痛·下痢·嘔吐·血便を主訴に当院内科を受診した.腹部超音波検査で腸重積が疑われ当科に紹介された.腹部CT検査で,肝弯曲部に上行結腸と腸間膜の重積を認めたが,明らかな腫瘤性病変は認めず原因不明であった.大腸内視鏡検査を施行したところ肝弯曲部で結腸の重積を認めた.重積の先進部に20mm大の隆起を認め同部位の生検を行った.慎重に送気を行ったところ重積は解除された.内視鏡的整復後に経過観察目的に入院したが重積を再発することはなかった.入院時に施行した便培養検査で腸管出血性大腸菌O-157を検出した.発症10日後に大腸内視鏡検査を行ったところ,隆起は消失していた.また,隆起部位の生検結果は炎症細胞のみで明らかな腫瘍細胞を認めなかった.以上から腸管出血性大腸菌O-157感染による腸重積と診断した.

著者関連情報
© 2009 日本大腸肛門病学会

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/4.0/deed.ja
前の記事
feedback
Top