日本大腸肛門病学会雑誌
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原著
痔瘻に対する原発巣開放手術(限局的laying open法)の術後長期成績
大見 良裕稲葉 宏関野 晴夫長谷川 信吾大見 琢磨大見 究磨山本 雅由星 加奈子
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2009 年 62 巻 5 号 p. 307-322

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抄録

目的:痔瘻に対して原発巣開放手術を行い5年以上を経過した125例の状態を検討した.
対象と方法:平成3年5月から平成14年5月までに原発巣開放手術(一次口·一次瘻管·内肛門括約筋·原発巣·皮下外肛門括約筋を含めて切除または切開開放創とする)を125例の痔瘻(II LC 8例,II H 31例,III 12例,II H+III 74例)に行った.手術後の経過はカルテの記載と郵送によるアンケート調査で確認した.
結果:1.創の治癒は125例のうち117例(94%)でみとめた.2.再発は88例(70%)でみとめなかった.3.手術後の肛門の状態.把握のできた50例のうち12例(24%)に肛門の症状がみられた.そのなかで手術にともなう肛門括約筋不全の症状は11例(ガスの洩れ5例,下着の汚れ2例,時に便失禁3例,常に便失禁1例)(22%)にみられた.
結語:原発巣開放手術が痔瘻の根治手術として,ある程度の成果を得ることができたと考える.

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© 2009 日本大腸肛門病学会

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