日本大腸肛門病学会雑誌
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症例報告
下部直腸扁平上皮癌が上部直腸に同時性壁内転移をきたした1切除例
高橋 孝夫徳山 泰治坂下 文夫長尾 成敏山口 和也長田 真二荒木 寛司杉山 保幸富田 弘之廣瀬 善信
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2008 年 61 巻 1 号 p. 33-38

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抄録

症例は60歳女性,粘血便を主訴に大腸内視鏡検査,注腸造影検査を施行したところ上部直腸-直腸S状部(Ra-Rs)に1型腫瘍を認め,肛門管にかかる下部直腸(Rb-P)に2型腫瘍を認めた.生検結果はともに扁平上皮癌であった.以上よりRb-Pの約2cmの2型腫瘍,Ra-Rsの約6cmの1型腫瘍に対し,平成17年8月腹会陰式直腸切断術を施行した.病理検査結果ではRb-P腫瘍は低分化型扁平上皮癌,mp, ly2, v2であった.Ra病変は主座が粘膜下にあり,粘膜面には陰窩が残存して比較的保たれていること,これら組織が類似していることから下部直腸扁平上皮癌の上部直腸への壁内転移と判断した.われわれは下部直腸扁平上皮癌が上部直腸に同時性壁内転移をきたし,切除しえた稀な症例を経験したので報告する.

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© 2008 日本大腸肛門病学会

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