日本大腸肛門病学会雑誌
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大腸mp癌の臨床病理学的検討
佐藤 幸一東 博西山 保比古大谷 剛正
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キーワード: 大腸mp癌, mp内浸潤度, budding
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2005 年 58 巻 2 号 p. 101-106

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抄録

過去7年間に手術を行った大腸mp癌52例を対象とした.腫瘍部を全割し,H.E染色標本で病理組織学的一般事項を観察した後,静脈侵襲を正確に同定するため,Elastic van Gieson染色も行った.mp内浸潤度は4段階に分類し,他の臨床病理学的因子との関連性を検討した.さらに,腫瘍先進部の所見に着目し,静脈侵襲との関係を検討した.
占拠部位はS状結腸と直腸に多く存在した.2型は1型よりmp内浸潤度が深い傾向がみられた.しかし,他の臨床病理学的因子とmp内浸潤度との相関関係はみられなかった.再発は3例(5.8%)に認め,いずれも血行性転移であった.リンパ節転移は21.2%に認め,すべてn1までであり,大腸mp癌ではD2郭清が妥当と思われた.buddingや組織分化度変化を示す症例は静脈侵襲陽性率が高く,血行性転移高危険群であり,術後積極的に化学療法を考慮すべきと考える.

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