日本大腸肛門病学会雑誌
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副腎皮質ステロイド剤の著効したCronkhite-Canada症候群の1例
副腎皮質ステロイド剤投与方法の検討
大東 誠司芳賀 駿介高橋 直樹遠藤 俊吾加藤 博之塩沢 俊一押部 信之萬 直哉飯田 富雄清水 忠夫梶原 哲郎寺田 和彦
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1991 年 44 巻 4 号 p. 494-499

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抄録

症例は61歳,男性で下痢,食思不振を主訴に受診.全身の掻痒感,色素沈着が著明で脱毛,爪甲萎縮,味覚異常さらには胃・十二指腸,大腸に多発性ポリポージスを合併していた.ポリープの病理組織学的所見は若年性ポリープに類似した過形成性ポリープであった.以上よりCronkhite-Canada症候群と診断し,プレドニゾロンを投与開始した.プレドニゾロンは30mgより開始し症状の改善に合わせて漸減し,5mgにて維持量とした.薬剤投与開始後1週間で食欲亢進し,1カ月後には下痢,外胚葉系異常は改善.さらに2カ月後には消化管ポリポージスの著しい減少が認められた.本症候群に対する治療方法として副腎皮質ステロイド剤は有効とされているが,その投与方法についてはさまざまな意見があり再発例,無効例も報告されている.今回の検討からプレドニゾロンは30~40mgの中等量より開始し漸減さらに5~15mgの少量維持療法を継続することが症状の改善,再発を防止するうえで最も有効な方法であると考えられた.

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