1986 年 39 巻 3 号 p. 232-236
大腸癌細胞に癌特異抗原が存在するか否かを明らかにするため,手術切除大腸癌組織より抗原の抽出を行い免疫学的検討を行った.抗原の抽出はKurata法により不溶性リポタンパクを抽出し,0.2%DOCにて可溶化,ゲル濾過にて部分精製した後,モルモットに免疫し抗血清を得た.この抗血清を適当に稀釈し,酸素抗体法により免疫学的検討を行ったところ,18種類の正常組織,15種類の胎児組織には存在しない大腸癌抗原が存在した,またこの抗原は大腸癌には共通して存在するが,10種類の他臓器癌には存在しなかった.
以上より大腸癌細胞には腫瘍関連抗原が存在すると考えられた.