日本乳癌検診学会誌
Online ISSN : 1882-6873
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原著
乳頭分泌液中CEA 測定と乳癌症例の検討
関根 進 大塚 恒博
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2016 年 25 巻 1 号 p. 69-73

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抄録

乳頭分泌は,非触知乳癌の発見契機として重要であり,その診断プロセスとして乳頭分泌液中癌胎児性抗原(carcinoembryonic antigen; CEA)が用いられている。今回,イムノクロマトグラフィによる乳頭分泌液中CEA 測定キット「ラナマンモカードCEA」(マンモカード)とマンモグラフィ(MMG),乳房超音波(US)との診断特性を比較検討した。 2005年10月から2011年5月までに主に乳頭分泌液を主訴に来院し,乳頭異常分泌が確認された69例を対象にした。マンモカード,MMG,US の感度/特異度を検証するとともに,ロジスティック回帰分析によりMMG とUS にマンモカードを上乗せする効果を調べた。 MMG/US はC―3以上を陽性,マンモカードは400ng/mL をカットオフ値とした。MMG,US,マンモカードの感度は78.6%,92.9%,85.7%,特異度は74.5%,69.1%,74.5%,正診率は75.4%,73.9%,76.8%であった。ロジスティック回帰分析から求めたROC 曲線において,MMG とUS の曲線下面積(area under the curve; AUC)は0.894,これにマンモカードを上乗せしたAUC は0.971と高い傾向(p=0.1103)を示した。 乳頭異常分泌症例について,マンモカード単独の診断特性はMMG・US と同等であった。また,MMG・US にマンモカードを上乗せすると診断能力が向上する可能性がある。

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