日本乳癌検診学会誌
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日本のすみずみまで乳癌検診を
自治体のサポートによる乳がん検診のための人材育成
角舎 学行秋本 悦志恵美 純子重松 英朗舛本 法生春田 るみ片岡 健岡田 守人
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2013 年 22 巻 1 号 p. 45-50

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抄録

広島県では,「広島乳がんネットワーク」により医療施設が乳がん診療の役割分担を行っている。その中で,乳がん検診・精密検査の中心となる精密検査施設,乳がん治療の中心となる周術期施設には,それぞれ乳癌認定医,乳腺専門医が常勤することが必須条件とされている。しかし,ネットワーク開始時には乳癌認定医,乳腺専門医が不足していることが明らかになったため,広島大学病院乳腺外科と広島県が共同で平成23年度から「広島乳癌認定医・乳腺専門医育成プロジェクト」を開始し,定期的な育成カリキュラムのもと人材育成を行った。これまでに行われた6回のプロジェクトの講義には県内全域から延べ146名の医師が参加し,その中から専門医,認定医がそれぞれ6名ずつ誕生した。レベルの高い乳がん検診を行うためにはこれらの資格取得者を継続して育成する必要があるが,乳癌学会の施設認定や資格に必要な手術症例数の確保など,個々の施設の努力だけで解決できない問題もある。効率の良い人材育成を行うためには,がん拠点病院や基幹病院の努力だけでなく,自治体によるがん治療,がん検診の現状把握と継続したサポートが必要である。

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© 2013 日本乳癌検診学会
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