日本乳癌検診学会誌
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「50歳未満の適正な乳がん検診のあり方に関する研究」中間報告
遠藤 登喜子大内 憲明辻 一郎東野 英利子福田 護藤田 広志市原 周高橋 かおる朝戸 裕
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2002 年 11 巻 2 号 p. 137-142

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抄録

50歳未満 (40歳代) を対象とした死亡率減少効果が期待できる乳がん検診のあり方に関する研究班の中間報告を行った。Miyagi Trialでの40歳代の乳がん発見率は (視触診0.11%, マンモグラフィ0.15%で) 視触診よりマンモグラフィによる発見率が高く, 50~69歳 (0.09%, 0.13%) より高かった。マンモグラフィ併用では両年代群の乳がん発見率はともに0.20%で, 40歳代でのマンモグラフィ検診有効の可能性が示唆された。50歳未満の女性のマンモグラムは不均一高濃度乳房および高濃度乳房の割合が85%で, 50歳以上 (64%) に比して多かったが, 自動露出制御装置 (AEC) の設定濃度を1.25から1.50に変更することによって高濃度群が減少することが判明し, 精度管理のさらなる重要性が確認された。超音波検診は超音波検査従事者, 使用法, 使用機器, 要精査基準などさまざまであった。現在, 要精査基準や講習法など, さまざまな研究が行われている。各種がん検診の費用効果比に関する研究では, マンモグラフィ併用検診・超音波併用検診の費用効果費を検討した結果, 40~49歳の1生存年延長に要する費用は, マンモグラフィ併用検診109.2万円, 超音波併用検診187.2万円, 視触診のみ145.7万円と, マンモグラフィ併用検診で最も優れ, 超音波併用検診ではもっとも悪かった。しかし, 超音波検診のデータが少ないことから, さらなるデータ収集が必要である。

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