1982 年 32 巻 2 号 p. 74-82
東洋医学と西洋医学の接点に立つ重要な理論としてバイオリズムをとりあげ, とくに「時間療法」の枠組みを通して鍼のもつユニークさと新しい可能性について分析・検討した。
研究対象としてイヌ15頭を用い, 3時間毎に1日24時間の各種血中ホルモン分泌量を測定し, そのサーカディアンリズムの解析を行った。ついで副腎皮質機能の指標として血中コルチゾールをとりあげ, 周期回帰分析でえた高分泌相と低分泌相の時間帯に鍼通電刺激を行い, 各時間帯における鍼刺激感性と血中ホルモンの分泌パターン (反応性のリズム) との相関について分析検討した。
その結果, 低分泌相に鍼刺激を行った方が副腎皮質の機能をより賦活し、分泌量も増大するという成績がえられた。このことは同時に, 生体フィードバック系の賦活を根本原理とする鍼治療のユニークさと, 時間療法としての鍼の有用性を示唆していると考える。