2020 年 99 巻 10 号 p. 165-172
木質バイオマスを鉄鉱石の共存下でガス化を行った。鉄鉱石を共存させても,可燃ガスの生成量に変化はなく,炭酸ガスのみが増加した。ガス化後の残渣中の鉄鉱石は,ほぼ金属鉄にまで還元されていた。このとき,タールおよびチャー成分は減少していた。このことからタールやチャーが鉄鉱石を還元したと考えられる。炭酸ガス雰囲気で木質バイオマスのガス化反応を行った所,炭酸ガス供給量より排出量の方が少ない結果となった。これは炭酸ガスが一酸化炭素等に還元されたためであり,ネガティブ・エミッションを実現する意味で重要である。この時においても,鉄鉱石は約66%が金属にまで還元されていた。バイオマスから回収されたエネルギーは,鉄鉱石の還元エネルギーを含めると,その90%以上が回収された。