2010 年 59 巻 10 号 p. 607-614
日本では温湯浸漬処理されたマンゴーが輸入されている。近年,照射輸入マンゴーはアメリカでは広く利用されている。本研究では照射マンゴーに誘導されるラジカルのESR法による分析について報告する。γ線照射されたマンゴーの果肉及び果皮にはg=2.004に強い1本線の信号が観測された。これは有機フリーラジカル由来と考えられた。果肉及び果皮において12kGy以上の照射処理によりセルロース由来の照射誘導ラジカルが現れた。一本線信号の緩和時間(T1とT2)を計算した。T1はほぼ一定であったが,T2は線量の増加とともに変化した。T1及びT2の相乗平均を検討したところ,線量依存性が確認された。