1997 年 58 巻 3 号 p. 305-316
琵琶湖北湖南部において,水温の成層構造および内部波の季節変化について調べるために,1992年3月から10月にかけて全層サーミスタチェーンによる水温鉛直分布の長期連続観測をおこなった。最初に季節躍層が形成されたのは4月末であった。しかし,6月上旬までは季節躍層は安定して存在せず,しばしば不明瞭となった。また,この時期にはしばしば季節躍層の他に表水層内に二次水温躍層が形成された。北湖の基本モードの内部静振は,季節躍層がみられるようになったばかりの5月前半にすでに発生し,成層構造の変化とともにその周期が変化しながら,9月後半を除いて観測終了までほぼ常に存在した。夏季停滞期および秋季部分循環期には,基本モードの内部静振の他に,約半日周期の内部波が卓越して生じた。約半日周期の内部波は間欠的に発生し,特に夏季の深水層ではしばしば10mに達する大きな波高となった。また,夏季にはしばしば内部サージと思われる現象が発生していた。