雑草研究
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クロメプロップと加水分解代謝物のオーキシン活性とトウモロコシオーキシン結合蛋白質との結合活性
春原 由香里臼井 健二松本 宏迫田 理子石塚 皓造
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1995 年 39 巻 4 号 p. 256-264

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抄録

クロメプロップは植物体内でアリルアシルアミダーゼにより素早く加水分解されDMPAとなり, より強いオーキシン活性を示すことが示唆されている。しかし, クロメプロップ自身がオーキシン活性を示すかについての検討は十分にはなされていない。
クロメプロップ自身がオーキシン作用を示すかどうかを調べるために, 種々のオーキシン活性試験, 除草剤活性試験, 原形質膜上のオーキシン作用の受容体と推定されているオーキシン結合蛋白質との結合活性試験を行い, 加水分解代謝物であるDMPA, オーキシン活性の指標とした, IAAとNAA, アンチオーキシンであるPCIBとの比較を行った。
(1) 代表的なオーキシン活性試験である, トウモロコシ子葉鞘伸長促進活性試験, ヤエナリ下胚軸屈曲試験, エチレン生成促進試験においてDMPAはIAAやNAAよりもやや低いが, クロメプロップよりも高い活性を示した (Fig. 2, Fig. 3, Fig. 4, Fig. 5)。
(2) トウモロコシ, ヤエナリでの生育阻害試験においてクロメプロップはDMPA, IAA, NAAより低い生育阻害活性を示した (Fig. 6, Fig. 7)。
(3) クロメプロップは原形質膜上のオーキシン作用の受容体と推定されている, オーキシン結合蛋白質にオーキシンとして認識されなかったが, DMPA, IAA, NAA, PCIBは認識された (Fig. 8)。
以上の結果より, クロメプロップ自身はオーキシン活性を示さず, 植物体内でDMPAに加水分解された後に初めてオーキシン結合蛋白質にオーキシンとして認識され, オーキシン活性を示している可能性が高い。

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