雑草研究
Online ISSN : 1882-4757
Print ISSN : 0372-798X
ISSN-L : 0372-798X
水稲とコウキヤガラの競合に関する研究
千葉 和夫
著者情報
ジャーナル フリー

1991 年 36 巻 2 号 p. 109-117

詳細
抄録

コウキヤガラの水稲に対する雑草害および両者の競合について検討し, 以下の結果を得た。
1. 収穫期にコウキヤガラ風乾重が100g/m2あると水稲は約20%減収し, 単位重量あたりの減収程度は水田雑草の中ではかなり高い方に属する。
2. コウキヤガラの水稲穂数への影響は, 分げつ期には茎数の増加の抑制, 最高分げつ期~出穂期には無効茎の増加, さらに1穂粒数の減少として現れた。
3. 水稲およびコウキヤガラのCGRは, ともに生育が進むにつれ増大し, 最高分げつ期から出穂期にかけて最大となった。RGRは両者ともに生育前期において高いが, コウキヤガラでは特に高い値を示した。NARは生育前期においてはコウキヤガラが高く, 中~後期においては水稲の方が高かった。
4. 水稲とコウキヤガラは養分と光の双方で競合するが, まず養分の競合が先行し, ついで光の競合も起こる。水稲収穫期におけるコウキヤガラの窒素吸収総量は, コウキヤガラの密度が特に高い場合約5.0kg/10aであった。

著者関連情報
© 日本雑草学会
前の記事 次の記事
feedback
Top