雑草研究
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夏期湛水土中における冬雑草, とくに水田及び畑地産ヤエムグラ種子の生存期間
鶴内 孝之
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1988 年 33 巻 4 号 p. 260-265

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抄録

麦作の重要雑草であるヤエムグラ種子を中心に, 生存期間に及ぼす夏期湛水処理の影響について検討した。
1. 6種8点の冬雑草種子を1985年8月3日に畑状態及び水の縦浸透10mm/日の水田状態のコンクリートポットに埋め, 90日後にとり出して発芽試験を行った。その結果, 畑区では全種類が90%前後出芽した。水田区では, スズメノテッポウの水田型と畑地型及びカラスノエンドウは畑区と同程度出芽した。一方水田産ヤエムグラは11%に低下し, 他の畑地産ヤエムグラ, ナズナ, オオイヌノフグリ, ハコベ及びコムギは全く出芽せず, このうちヤエムグラ, オオイヌノフグリ及びコムギは種子の死滅が確認された。
2. 1986年5月, 長崎及び福岡両県の水田及び畑地各3地点からヤエムグラ種子を採取した。6月下旬にこれらをコンクリートポットに埋め, 水の縦浸透の有無を組合せて, 1, 2, 3及び4か月間湛水処理を行い, これら種子の発芽と生存状態を調査した。その結果出芽率は, 湛水期間が長くなるほど急速に低下し, また漏水 (縦浸透) 区>無漏水区, 水田産>畑地産の関係が明瞭であった。

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