雑草研究
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主要雑草の葉身部の解剖的特徴 (雑草の生態・生理に関する研究, 第3報)
野田 健児江口 末馬
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1973 年 1973 巻 15 号 p. 59-65

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抄録

暖地における主要雑草23種とイネ, コムギ, オオムギの26種の葉身部の解剖的観察を行ない, 雑草防除上からの考察を行なった。
1) 維管束鞘細胞 (BSC) のクロロプラストの有無やデンプン反応の程度から, 光合成能における, いわゆるC3, C4植物のどちらに属するかを判別した。
2) 維管束の数や配切にはC3, C4植物によって明らかな差異がみられ, さらにBSCの形態, 大きさなどにおいてC4植物に属するイネ科のキビ亜科 (Panicoideae) とスズメガヤ亜科 (Eragrostoideae), さらにカヤツリグサ科の2種, およびスベリヒユの4群間に明らかな差異がみられる。
3) 葉身部の表皮の表面凹凸度をその指数 (corrugation index) によって比較した。総括してイネ科の凹凸度が広葉・カヤツリグサ科よりも著しく, とくにアゼガヤは最大であった。また, 例外的に広葉の中でデンジソウの凹凸度は大きく, 特異的な表面構造をしている。
4) 葉身部の表皮の外側細胞膜の厚さを比較した。イネ科, カヤツリグサ科の厚さが, 相対的に広葉のそれよりも大である。さらに, イネ科の中ではイネ, オヒシバ, エノコログサなどの厚さがもっとも大きい。
5) 葉身部の空隙 (air cavity) の量は草種によって異なっており, 沈水性の水生雑草であるウリカワでは最も多く, 面積率50.7%である。ついでヒルムシロ, コナギなどで多い。

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