雑草研究
Online ISSN : 1882-4757
Print ISSN : 0372-798X
ISSN-L : 0372-798X
ワラビに対する asulam の殺草効果とそれに関連する2, 3の生態
行永 寿二郎井手 欽也伊藤 幹二
著者情報
ジャーナル フリー

1973 年 1973 巻 15 号 p. 34-41

詳細
抄録

1) この実験は, ワラビの防除に利用する吸収移行型除草剤 asulam の殺草効果を, ワラビの生態との関連において考察したものである。
2) 自生ワラビの地下茎は一連続系だけで全長30mにおよび, 主茎長3.7m, 第1次分枝長平均1.25m, 第2次分枝長平均0.29mであった。また地下茎の深度は10cm内外で, 地下茎の直径は平均1cmであった。
3) ワラビは春先に発生が始まり, 第2次分枝の未端部に形成される。地上部は秋に枯死するが, 地下茎の分枝末端部にはすでに1~2本の幼芽が形成されていて, 翌春の発生源となる。
4) ワラビの葉柄基部には腋芽が形成されているが, その形成割合は全葉柄数のおよそ50%であった。
5) ワラビに対して asulam (60g/a) を茎葉処理したところ, 地上部は60日で枯死し, その後, 再生は全く認められなかった。
6) ワラビは, asulam 処理後7日で地下茎の先端と幼芽部に, 枯死に十分な量の asulam が移行するものと考えられる。
7) asulam 処理により, ワラビの地下茎の呼吸はしだいに衰え, 60日後には著しく低下した。

著者関連情報
© 日本雑草学会
前の記事 次の記事
feedback
Top