(1) 九州地域の主要畑作地帯の6土壌について, 土壌水分の差による雑草の発生状態および除草剤の殺草性, 土壌中の行動を検討し, 除草剤使用にあたっての地域性, 地帯区分を明らかにしようとする。
(2) その結果, 諫早土壌 (鉱質土壌) は土壌水分の差による雑草の発生が不安定であり, 除草剤の土壌中での移動性も最も大きく, 除草剤の殺草力は適湿状態では極めて大きいが, 土壌の乾湿による変動が大きく, 不安定である。大分土壌 (沖積土壌) についても同様のことがいえる。黒色火山灰土壌間では都城土壌がこれらの2土壌に近い動きを示す。
(3) これら3土壌は黒色火山灰土壌の大野, 西合志, 鹿屋の3土壌にくらべ, 最大容水量が小さく, 腐植含量が少ないことが, 除草効果を不安定にしている原因の一つと考えられる。
(4) 供試土壌と除草剤の作用性との関係は, 大野, 西合志, 鹿屋土壌ではCAT, PCP, リニュロンとも安定しているが, 都城, 諌早土壌では土壌水分の状態によって除草効果がやや不安定である。