雑草研究
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水稲乾田直播栽培における雑草による減収推定について
太田 孝西郷 昭三郎平野 豊
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1963 年 1963 巻 2 号 p. 86-90

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抄録

(1) 水稲乾田直播栽培における雑草による減収推定尺度を求め, 雑草量の許容度を知るとともに, 生育途中における除草の必要性の有無を判定する資料を得ようとして試験を行ない, 一つの基準を得た。
(2) 除草体系に関する試験の中で行なつたもので, 標準除草体系としての播種後PCP, 灌水前DCPA, 灌水後PAM, 無効分げつ期MCPに対して, DBN, CAT, BPAなどを組み入れた12の体系区を2連制で試験を行なつた。
(3) 供試田は埴壌土で, 減水深の少ない雑草量の一般に多い所であつて, 主占雑草はメヒシバとマツバイであつた。 雑草量は, 現地での利用を容易にするため, 生体重で調査表現した。
(4) 成熟期における雑草量 (x, 生体重g/m2) と収量 (y, 玄米重kg/a) との間に相関係数-0.95という高い相関がみられ, y=-0.008x+48.74という式が得られた。
(5) 灌水後20日頃の生育中期 (有効分げつ限界期) における雑草量と収量との間にも一定の関係がみられ, y=43.8×10-0.00046xという式が得られた。
(6) 乾田直播の除草体系として, 灌水前の初期の雑草抑制効果が大きいことが認められたが, 生育初期における雑草量と収量との関係は明らかにし得なかつた。それは雑草が小さく, 雑草量の測定に誤差が入りやすいことなどのため乱されたものであろう。
(7) 雑草害としては, 稲の形質は穂数減として大きく現われ, ついで穂長減として, また雑草量が非常に多くなると倒伏しやすくなり, 稔実もかなり悪くなる。
(8) 雑草重群落比と収量との関係についても検討を加えた。

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