内観研究
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短報
心理療法におけるサイコセラピストの内観の意義
〜TAEによる内観体験の意味解明の試み〜
仁田 公子
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2020 年 26 巻 1 号 p. 87-93

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抄録

 本論は、自己を見つめる方法として「内観法」を大切にしてきた心理療法家にとって、その体験の意味が何であるかについて考察したものである。考察に際しては、「一人称の科学」の提唱者である哲学者で、同時に優れたサイコセラピストでもあったE.T.ジェンドリンのTAE(Thinking At the Edge)の方法を用いた。TAEは、体験により「からだ」がすでにわかっていることを「フェルトセンス」と触れながら新しいことばで表現しようとする作業である。その結果、内観で自分を深く知ろうとすることは、通常の意味での「自分」や「自我」を無に帰し、「自分」を開き、より大きないのちの根源へと向かわせるということが表現できた。自分を開くことは、また喜びを伴う「お返し」の実践につながり、そのことがサイコセラピストとクライエントの関係性を支えてきたことが明確になった。

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© 2020 日本内観学会
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