内観研究
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短報
日常内観療法がうつ病残留症状に対する効果のランダム化対比研究
粟 幼嵩李 則摯潘 桂花喬 穎刑 夢娟陳 俊王 祖承
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2013 年 19 巻 1 号 p. 57-64

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抄録

目的 ベンラファキシン(Venlafaxine)と内観療法の併用がうつ病残留症状に対する治療効果の検討

方法 60例の患者にベンラファキシンを用いて6週間治療したあと、HAMD(Hamilton Depression Scale−17,HAMD−17)スコアは7≦HAMD-17<17となる。続いてそれらの対象をランダムに介入(n=30)と対照(n=30)の両群に分け、介入群にベンラファキシン+日常内観療法の治療を、対照群にベンラファキシンの治療を4週間施す。ベースライン(Baseline)と4週目最終日にHAMD−17、CGI(Clinical Global Impression)、LSR(Life Satisfaction Rating Scale)で治療効果を評価する。

結果 ベースラインでは介入群と対照群のHAMD−17、CGI、LSRスコアともに有意差(Significant Difference)がない(P>0.05)。4週目最終日において、介入群のHAMD−17の減点(reduced score)(6.30±3.37)ははるかに対照群のそれ(5.93±3.62)を上回り、有意差が示されている(P=0.01)。介入群のCGI-Sの減点(0.85±0.41)も対照群のそれ(0.56±0.49)を大きく上回り、有意差が見られる(P=0.004)。一方、4週間の治療を終え、介入群のLSR総スコアの増加分(3.04±0.87)は対照群のそれ(2.16±0.53)を超え、有意差がある(P=0.02)。そして、介入群の各LSR因子のスコア増加も対照群のそれより激しい結果になっている(P<0.05)。

結論 内観療法との併用はベンラファキシンだけの治療法に比べて、よりよく気分障害(うつ病発作の残留症状)を改善でき、患者の生活満足度の向上に促進できる。

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© 2013 日本内観学会
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