内観研究
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集中内観体験前・後の愛着スタイル別に見た内観の効果
長島 美稚子尾崎 康子
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2010 年 16 巻 1 号 p. 89-99

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抄録

 筆者は、これまで内観尺度を作成してきたが、内観者の特性による内観の効果を調べることが課題であった。そこで、本稿では、内観者165名に対して、内観前後に内観尺度を調べるとともに、内観者の特性として母親との関係性を土台とする愛着に着目し、愛着スタイルによる内観尺度の効果を検討した。まず、内観尺度の因子分析によって抽出された幸福感と自己認知と陰性感情の3因子について、内観前後の違いを調べたところ、内観による幸福感と自己認知の高まりと陰性感情の低減が認められ、内観の効果が示唆された。次に,成人愛着スタイル尺度を用いて対象者を安定群、両価群、回避群の3つの愛着群に分類し、愛着群別に内観尺度を調べたところ、安定群と両価群は、内観によって幸福感と自己認知が増加し、陰性感情は減少するという有意な効果が認められたが、回避群では、内観による効果は有意傾向に留まった。また、両価群は他の群に比べて、内観前に陰性感情が有意に高く、自己認知が有意に低いにもかかわらず、内観後には有意な差は認められなかった。両価群は、面接者の信頼関係と適度な自我より、内観によって、ネガティブ思考からポジィティブ思考に大きく変化することが推考された。

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© 2010 日本内観学会
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