2007 年 13 巻 1 号 p. 29-38
内観者面接者「関係」の相互性は内観三項目の遂行の仕方と不可分にかかわり、それは同時に内観の外枠的な構造(「屏風」の使用や「通し間」での内観面接という設定)とも密接にリンクしている。屏風は外部からの刺激を遮断し、プライバシーを保護しつつ内省のための集中性を保障する仕掛けである。屏風は「一人でいる(ウイニコット、バリント)」退行的な心的状況を可能にするが、それは面接者が内観者の立場に立つ姿勢が担保されて初めて実現される。「通し間」という設定は、面接者への直接的な依存を排除しながら、内観者が内省結果を「宣言する場」としての役割を果たしている。匿名の第三者(他の内観者)がいる「開かれた場」の中で、深い内観面接が行われることで、内観者は面接者個人への告白という依存文脈を超えて深い懺悔を達成し、開かれた罪意識(懺悔心)という内的な“開け”を体験することができる。