京都滋賀体育学研究
Online ISSN : 2435-8835
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異なる遊び環境における幼児の身体活動量の変化: 「森のようちえん」における森,田畑,民家の比較研究
玉木 彩水上田 憲嗣永浜 明子
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2020 年 36 巻 p. 13-19

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抄録

 本研究の目的は,「森のようちえん」を対象に,森・田畑・民家の各活動場所における幼児の身体活動量の変 容を,歩数量および3軸加速度計を用いた身体活動量(メッツ・時)を用いて明らかにすることであった. OMRON 社製の研究用活動量計アクティブスタイルプロ HJA-750C を用いて,3歳から6歳児,計5名の歩数・ 身体活動量(メッツ・時)を測定した.活動場所は,森・田畑・民家であった.歩数と身体活動量(メッツ・時) の2変量間の関係は,Spearman の順位相関係数を用いて評価した.比較の検定はフリードマン検定を行った. 有意差が認められた場合には,Bonferroni 型の多重比較検定を行った.その結果,1日の身体活動量・歩数にお いて活動場所間で有意な差が認められた(X²(2)= 8.4, p = .015).また,田畑の1日の歩数量および身体活動量 は民家と比較して有意に高かった(p = .013).したがって,活動場所による遊びの変化が身体活動量(メッツ・ 時)・歩数量に大きく影響することが明らかになった.森においては,1日の身体活動量(メッツ・時)と歩数相 関が認められ,歩数による身体活動の評価の妥当性が示唆された.一方,田畑・民家では,1日の歩数と身体活 動量(メッツ・時)の間には有意な相関関係は認められなかった.これらのことより,本研究では活動場所によ り,身体活動量(メッツ・時)の併用が有用であることが明らかとなった.

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© 2020 京都滋賀体育学会
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