2024 年 14 巻 1 号 p. 49-55
全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus:SLE)の急性ループス肺炎(acute lupus pneumonitis:ALP)を初発症状とした2例を経験した.症例1は7歳女児.労作時呼吸困難が8か月前から先行したのちに発熱・蛋白尿・血尿等からSLEと診断された.胸部CTでは両側下葉優位にすりガラス影を認めた.ステロイドパルス療法等の治療により4週間ですりガラス影は消失した.症例2は14歳女子.発熱・蛋白尿・血尿等からSLEと診断されたが呼吸器症状はなかった.胸部CTでは右下葉に気管支血管束周囲の不整形陰影を認めたが,治療後には消失した.ALPは無症状のものから気道症状を伴うもの,また他臓器病変に先行するものから同時発症するものまで幅広く,特にALPが他臓器病変に先行する例ではSLEの診断は困難になる.間質性肺炎の原因疾患として,気道症状を有さない場合でもSLEの臓器病変として,ALPを検索することが重要である.